石鐘
音はあんまり響かないけれど
ただ、1人
アノヒトにだけ、僕の鐘の響きが
鐘の音色が
鐘の音色に乗せた僕の想いが
アノヒトの耳にだけ届いてくれればいい。
雨の日の石鐘
晴れの日の石鐘
澄み渡る秋の日の石鐘
しんしんと降る雪の日の石鐘
蒸し蒸しと染み入る夏の日の石鐘
爽やかな春の日の石鐘
色んな音をアノヒトに届けたくて
気づいたらたくさんの種類の石鐘達を創り出していた
それでもアノヒトにはまだまだ届かない
いつか、アノヒトが振り向いてくれるように
音が響かない石鐘を
いつかアノヒトの耳に届くように
僕は作り続ける。
作 : 猫