あんこ と おはぎ

雑学的なことや日常の悲喜こもごもなど

最後の買い物

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最後の買い物


何を買おう?
綺麗な洋服
匂いの好きな香水
試してみたかったメイク用品?


何を買おう?
温かく包んでくれる毛布
寝心地の良いベッド
清潔で肌触りの良いシーツ?


何を買おう?
時間を買って
空間を買って
お料理を買って
自分の大切な人達を全員ご招待して
皆んなでワイワイ過ごす。


そんな、贅沢な時間と空間を。
そして、人の輪を広げていける
縁そのものを繋いでいく事を。


私の最後の買い物は
カタチは無いけど
カゴいっぱいの思い出の時間。


それが私の
最後の買い物。

 

 

姉妹語

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仲良く身を寄せ合いながら一緒に育った姉妹の私達。


それぞれの人生を歩んで、今は離れた場所で自らの人生を進めている。


幼い頃母に言われて繋ぐ癖のついた貴方の小さな、でも力強く握りかえしてくれる掌の温もり。
親には分からない姉妹語で話した事もあったね。


今では「小さい妹」だった貴方は立派な母親になって、自分で産んだ娘達「姉妹」の親として生きている。


彼女達もまた、彼等なりの「姉妹語」を話すのかな。


伝声管を通して話すかの如く、それは誰にも理解できない言葉で、不思議でとても楽しかった幼いあの頃。


今はそれぞれの場所で離れて暮らしているけれど、いつかまた、姉妹語で会話できる日が来るのかな。


そんな日を楽しみにしながら「姉」として私は今日も伝声官から「妹」である君にエールをこっそり送っているよ。

対話のボラード

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初めて君に出逢えた時、僕は3秒で「君」という名の恋に落ちた。


君と誰よりも長く、これからの自分の人生の時間を一緒に過ごしたくて、こんな言葉を最初に言ったね。


「僕はとても鈍感な人間なんだ。きっと君が怒っていたり、哀しんでいたり、苦しんでいたり、不愉快に感じた事を言葉として表に出してくれないと、分からないんだ」
「だから、君が僕と一緒に居て嫌な気持ちになった時はその時に必ず僕に教えて欲しい」


君はあの時困ったように僕に微笑みかけて居たね。


長い月日を2人で重ねて、今も僕は君と居る。


君は相変わらず、はにかんでばかりで、僕は君の事をあんまり知らないし、分からない事も沢山ある。


それでも、少しずつ君が僕に君なりの言葉で君なりの行動や表現で僕に色んな事を伝えてくれるのを感じて居るよ。


僕も相変わらず鈍感で、愚直で、君を困らせてばかりで、そして心の底から君の事を愛している。


僕達が過ごしてきた月日は決して無駄ではないけれど、きっと僕達には「対話」が足りない。


僕達がこれから一緒に時を重ねていくために、例え一時的に傷つけ合ったとしても、僕は君と「対話」したいと思うんだ。


こんな事を言ったら君はきっとまた困ったようにはにかんで、何も言葉を発しないかもしれない。


今、きっと僕の中で
「恋」が「愛」に変わる時。
僕達には「対話」が必要なんだ。


「君の心の中では「恋」は芽生えて居たのかい?」
「それは「愛」に変わっていけるのかい?」


僕は君を傷付けたいわけじゃないんだ。
君は僕と「対話」してくれるかい?

 

 

 

 

風の吹く場所

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その場所は、繊細に風の音を感じる
細やかな風の向きを知らせてくれる場所


その風が、追い風なのか
はたまた、向かい風なのか
それとも、自分が向きを変えれば
風の色は変わるのか


誰にも平等に
街全体に吹く風


風の音色を奏でるこの場所は
皆に平等に吹く風の音色を
色んなカタチに変えて奏でる


「風の色を変えるのはあなた次第」
きっと、そう伝えてくれて居る


風の吹く場所
貴方の感じた「風の音色」は

 

地中から世界へ

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僕たちはバラバラだ
それでも固い絆で結ばれている


君は毛むくじゃらだし
僕には尻尾も牙も立派な爪もない
「僕たちは家族なんだ」
と言っても誰も信じてくれないかもしれない


それでも僕たちの絆は本物だ
それはきっと同種の家族よりも
ずっと固い信頼と絆で結ばれている


君は地中で1人彷徨っていた僕を
君という存在の輝きで
地中から世界へと連れ出してくれたのだから


どんなに種族が違っていても
どんなに外見がバラバラでも
僕たちを繋ぐ鎖は決して外れない
例えどちらかが息絶え
生命体としての姿形を失くしても


僕たちは家族さ
バラバラのね

 

水瓶

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いつもは気づかれないけれど
いつでも水をたたえている。


たまたま、通りがかった旅人や
自分でも気づかないうちにたくさんの傷を負った兵士や
喉を枯らしている動物達に


私を必要としてくれている全ての生き物に道すがらであっても
フト、気づくと水を豊かにたたえて佇んでいる。


普段は気づかれないけれど、フト
心が折れそうな時に見つけて満たされるような


そんな存在でありたい
私は水瓶

 

 

石鐘

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石鐘
音はあんまり響かないけれど
ただ、1人
アノヒトにだけ、僕の鐘の響きが
鐘の音色が
鐘の音色に乗せた僕の想いが
アノヒトの耳にだけ届いてくれればいい。

 


雨の日の石鐘
晴れの日の石鐘
澄み渡る秋の日の石鐘
しんしんと降る雪の日の石鐘
蒸し蒸しと染み入る夏の日の石鐘
爽やかな春の日の石鐘


色んな音をアノヒトに届けたくて
気づいたらたくさんの種類の石鐘達を創り出していた


それでもアノヒトにはまだまだ届かない


いつか、アノヒトが振り向いてくれるように
音が響かない石鐘を
いつかアノヒトの耳に届くように
僕は作り続ける。


作 : 猫