あんこ と おはぎ

雑学的なことや日常の悲喜こもごもなど

リップスティック

f:id:neco0121:20201112003336j:image

出会った頃の私達は
まだ、色付きリップを塗るか塗らないか
位に大人と子供の狭間で


幼くて、何処か大人で
あざとく自身の子供部分を活かして
大人達を欺いたり
幼く見えるクラスメイト逹を
まるで「自分は大人だから」
とでも言うように
冷めた目で傍観していたね。


ずっと、ずっと時間が過ぎて
お互いに、お互いの人生の時間を経て


あの頃大人ぶっていた自分達が
一番子供だった事を
自覚した今
私たちが唇に引くのはちゃんとした
リップスティック


武装の為のリップなのか
自己を表現する為のリップなのか
それとも、自分自身を保つ為のリップなのか


人それぞれに理由の違うリップを見に纏って


みんなと同じお揃いが安心する
そんな、リップスティックを卒業して


いつしか、再会した時に
お互いにお互いのリップの色を褒めあえる。


そんな、褒めてもらえるようなリップスティックの色を纏えるように歳を重ねて生きていきたい。

愛という名の遺産

f:id:neco0121:20201112003106j:image

気付いたのは「きみ」が
この世に居なくなった2年後の事だった。


あの頃の僕はいつも「きみ」に
「きみはただここにすわっていて。
僕が見張っていてあげるから」
と、言ってまるで自分が勇者か何かに

でもなったかの様に、得意げに。
そして、少し偉そうに、毎日を過ごしていた。


ある時世界中に流行病が舞い降りて人々を襲い猛威を振るった。
僕が見張っていた世界はあっという間に崩れ落ちた。


そして、僕が見張っていた筈の大切な「きみ」はその流行病でこの世を去った。


「きみ」が居なくなった世界に生きて
2年が経った今。
世界中を襲っていたあの流行病は嘘の様に消えて、まるで最初から流行病などなかったように世界は日常を取り戻している。


その取り戻した日常の中に「きみ」だけ
が、居ない。


とても不自然に「きみ」だけが居ない
世界。


その世界に生きてみて、やっと気付いた。


2年前のあの頃。
僕は、きみを守っているつもりで居たけれど、本当は僕の重た過ぎる愛を受け止めていてくれた「きみ」に僕が1番守られて、愛されていたことに。


僕に役目を与えてくれる事によって
僕は「きみ」に生かされていた事を。
きっと「きみ」は僕なんて居なくても
ちゃんと生きていける人だったのに「きみ」は僕に生きていく為の仕事を与えてくれていたんだね。


僕は人を真っ直ぐに愛する事が大好きな
人間だから。
時にその真っ直ぐな愛は相手を傷つけてしまう事も分からずに。
ただ、がむしゃらに、全力で、真っ直ぐに好きになった人を愛する。


パッと聞けばとても良い事に聞こえるけど、真っ直ぐな愛は時に人を。
1番大切にしたいと思っている相手を
傷つけてしまう鋭利な刃物になってしまう事を、僕は「きみ」を失ってやっと
気付ける事が出来たんだ。


あの頃「きみ」が座っていた椅子も
「きみ」を守る時に履いていたスリッパもあの頃のまま。


ただ、椅子に座っていた筈の「きみ」が帰ってくるのを今か今かと待っているかの様に、あの頃のままに残ってる。


僕がこのスリッパを履いて、振り向けば
「きみ」がいつもの温かい微笑みを。
あの、見ると安心する穏やかな微笑みを
いつもの様に僕に向けてくれると思わずには居られない位にあの頃のまま。


「きみ」は、今。
僕の知らない世界で、何を思い
何を感じているのだろう。


多分、空から僕を見て
きっと、あのいつもの微笑みを
僕に向けてくれているのだろう。


僕は、やっと僕の正体に気付ける事ができて、これからどう生きていくのだろう。


「きみ」が教えてくれた事を忘れない様に僕は、この椅子もスリッパもこのままに、生まれて初めてこの場所から一歩踏み出す。


きっとこの先どこに行っても、誰と居ても、空から「きみ」が微笑んでいてくれる事を感じながら。


僕の正体を見失わない様に。
そして、もう二度と「重過ぎる愛」という名の狂気で人を傷つけてしまわない様に。


いつか「きみ」と再会できた時には
僕も「きみ」に温かい微笑みを
嫋やかな微笑みを「きみ」が安心できる微笑みをたたえられる僕になって居たい。


だから、僕はもう行くね。
「きみ」が守って居てくれたこの世界から踏み出して、僕の世界をちゃんと造る為に。


これからも、この先も「きみ」は空
から、僕を見張るのではなく見守って居て。


勇者でも何者でもない本当の僕になれた時。


その時にまた僕は「きみ」に出会う。

 

タチカワの女たち

f:id:neco0121:20201112002850j:image

君が「慣れない」
と言っていた
「タチカワの女たち」は


様々な光を持っていて


キラキラと強い輝きを発光するもの
燈の様に優しく光るもの
蝋燭の炎のように包み込んでくれるもの
灯台のように見失わないように
「そこ」に存在してくれているもの


「タチカワ」出身ではない女も
「タチカワ」出身の女も
皆が混じりあって
独特の色合いと温かい光を放って
「タチカワの女たち」として輝いている


君が「慣れない」
と言っていた
「タチカワの男たち」も


色とりどりの顔を持っていて


時に夏の日差しの様に強く
時に冬の北風の様にに厳しく
時に春の日向の様に優しく
時に秋の木漏れ日の様に包み込み


誰も知らないこの街で
「自分は独りぼっち」だと
勝手に思っていた「私」は
「タチカワの女たち」と
「タチカワの男たち」に見守られ


いつしか自分も
「タチカワの女たち」
になりたいと思うようになった私は
いつでも「私」の隣にいて
柔らかく
心地よく
包み込んでくれる毛布の様な
「君」から
旅立って


「タチカワの女たち」と
「タチカワの男たち」に恵まれて
「私」も憧れのままではなく
「タチカワの女たち」
になれたら良いな


そんな
ワクワクを心に秘めながら
ここで佇んで居るんだ


そう
「私」は
「君」が「慣れない」と
言っていた「タチカワの女たち」

 

 

 

 

 

 

 

f:id:neco0121:20201112002724j:image


君が全身全霊で注いでくれる愛情で
掌の役目に気がついた


私が手を伸ばしたら
きっとその手は自分を撫でてくれる
温かな掌だと疑わずに頭を差し出してくれる
そんな君の迷わぬ気持ちで
私を何よりも、誰よりも信じてくれる
その瞳で


私の掌は


物を壊すことでも
誰かを傷つけることでも
自分自身を傷つける為でもなくて


きっと、誰かと手を繋いだり
いつか、誰かを温めたり
そして、何かを創りだしたり


最後に君を撫でて
私からの愛を注ぎ
君の愛を受け取る為に


そして、これから私の掌は
何を創りだしていけるだろう
君の愛を疑わずに受け取れるだろう
私の愛を君にいつまでも注いでいけるように


自分を温めて
抱きしめて


自分の掌の可能性に
君と一緒に期待しながら
これからも

 

 

 

 

彩りと光

f:id:neco0121:20201112002609j:image

出会った頃の僕達は
まだ、互いを知らなくて
真紅に燃えるようにお互いがお互いに
見つけやすいように発光して、衝突したり、勘違いしたり、怒りの赤や、愛情の紅や、様々な彩の光を発していたね


月日を重ねて、柔らかな
でも、どこか冷たいオレンジや黄色や、青みがかった黄緑や
お互いの感情を探り合い、様子を伺い、そして、今点っている明かりを消さないように様々なお互いを思い合う柔らかな彩りを纏ってお互いに接していたね


今、僕達は
また彩の光を重ねた色を繋ぎながらお互いに発光し合うのか、それとも、全ての色を出し尽くして白い光のまま、新しい色を発する事の出来る人を探しに出かけるのか


それとも、真っ白な光に戻った2人で2人の色を作って様々な彩りを新たに纏えるように歩いていくのか


そんな帰路に立っている


君は、これからどんな色を
彩りを纏って歩いていくのかな


そこに、私の新しい色が混ざって2人の新しい彩りは生まれるのかな


どんな色になろうとも、どんな彩りになったとしても、自分の色と2人で作った色を愛せるように


そして、新しい色を楽しめるように


何より君が心から幸せを感じる色を
君が満足のいく彩りを発光出来ることを
僕は祈っているよ


例え、僕達がお互いの光の色を見える場所に居られなくなっても


きっと君の光は
君の発する彩りは
きっと誰かの心を温めて
きっと誰かの傷を癒して
そして、誰かが生きていく燈と
繋がるはずだから

 

 

 

 

 

 

水瓶 episode Ⅱ

f:id:neco0121:20201112002359j:image

誰かの傷を癒したくて
誰かの役に立ちたいと思って
自分では無い誰かが
苦しい時
悲しい時
辛い時
そんな時々に癒せるような
存在でありたいと願っていた私は
乾いた喉を潤せるような
水瓶の様な存在でありたいと
思っていた私は


水瓶にはなれなかった。
誰かの役に立ちたいのなら
何よりも自分を大切にしなければ
誰の傷をも癒せはしないと
そして、水瓶の存在を
一番に欲していたのは自分だと
気づけて初めて
自分の喉が渇いている事を知り
そして自分を許して抱きしめて
潤して


いつか
私は誰かの水瓶になれるだろうか
この命
息絶える前に

リンク

f:id:neco0121:20201112002057j:image

タイプが全然違っていても
趣味が全く合わなくても
並んで歩いているのが不思議なくらいに
世界観が違っていても


それでも、僕たちはリンクする。
永遠に友達。
大切な友達。


嫌な事も、悲しい事も、辛い事も
そして、耳が痛くなるような言葉も
君の言葉だから受け取れる。


嬉しい事も、楽しい事も、面白かった事も
そして、君が嬉し泣きするくらい喜ぶ言葉も、自分の事以上に嬉しく思う。


幾つになっても
お互いに
独特の世界観で友達でいようね。


君は僕の大切な友達。


不思議な縁で出逢えた友達。
きっと根っこで繋がって


リンクしている
友達